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中空成形品の成形方法

ダイ・スライド・インジェクション

● 概要

 自動車のヘッドランプのような、内部が空洞で複雑な形状の中空成形品を、金型内で成形してしまう・・・・。この不思議な成形方法は、従来無かった発想、すなわち金型をスライドさせるというアイデアによって実現されました。
 日本製鋼所様が開発した、この成形方法は、ダイ・スライド・インジェクション、通称DSIと呼ばれています。

 従来、中空成形品を成形するには、まず、中空成形品の二つ割り状の一対の半中空部品を金型で成形し、そしてこれを取り出して接合面の樹脂を溶融する等して、一対の半中空部品の接合して、中空成形品を得ていました。

 DSIでは、一対の半中空部品を金型で成形した後、金型を型開するときに、1つの半中空部品は一方の金型に、他方の半中空部品は他方の金型に残すようにします。そして、一対の半中空部品の接合面が対向するように、金型をスライドさせます。そして、金型を型締して一対の半中空部品の接合面周囲に樹脂を射出します。このようにすると、中空成形品が金型内で成形できてしまうのです。

 DSIの基本特許はすでに満了していますが、同社はDSIに関連する多くの派生技術について特許を取得し続けて、特許の網を形成しています。例えば、インテークマニホールドの成形方法、3ピースからなる中空体の成形方法などです。
 ここでは、DSIと成膜技術を組み合わせた成形方法、自動車のヘッドランプの成形方法についてご紹介します。

 

● 説明

 多くの樹脂製品は、一対の金型を使って、射出成形で成形されます。金型の表面には、凹凸が形成されていて、一対の金型を型締すると、製品を形成する空間、すなわちキャビティが形成されます。
 熱で溶融された樹脂をキャビティに射出して、冷却固化を待って金型を型開すると、製品が得られます。

 射出成形の1つの技術である、DSIも一対の金型を使用します。

   

 まず、一対の金型を型締します。そうすると、ヘッドランプの燈体を成形するキャビティと、レンズを成形するキャビティが形成されます。

 燈体用のキャビティには、着色された樹脂を射出して、レンズ用のキャビティには透明樹脂を射出します。

   

 樹脂が冷却されて固化されるのを待って金型を型開します。このとき、成形された燈体とレンズは、それぞれ異なる金型に残すようにします。

   

 燈体の凹部に成膜装置を被せて密封し、成膜チャンバを形成します。いわゆる、スパッタリング方法などによって、燈体の凹部の表面に金属膜を形成させます。この金属膜がヘッドランプの反射面になります。

   

 成膜装置を外して、ロボットアーム等によって、燈体内部に電球をインサートします。

   

 燈体とレンズが対向するように、右の金型を上方にスライドさせます。そして、その位置で金型を型締します。
 そうすると燈体とレンズとは突き合わされます。そして、突き合わされた部分の周囲には接合用のキャビティが形成されます。

 樹脂を射出すると、燈体とレンズが接合されます。

   

 樹脂が冷却されて固化されるのを待って型開すると、ヘッドランプが得られます。

 

● 発明者について

 DSIの生みの親で、その派生技術の開発においても中心的役割を果たされているのは、西田正三様です。
西田様のご活躍については、BSフジ番組「知恵の輪ニッポン」など、いろいろなメディアで紹介されています。

● 日本製鋼所

 日本製鋼所様は鋼と機械の総合メーカーです。ご紹介したDSIに使用される高性能の射出成形機等を産業界に供給しています。また、高い強度と精密加工が要求される特殊な鍛鋼品については世界トップレベルの技術力を持ち、世界の過半の原子炉容器は同社の鍛鋼品で造られています。



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